ジュエリーデザイナー 伊藤まどか [Ito Madoka]

ジュエリーデザイナー
[出身]静岡県出身
[経歴]武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科金工専攻卒業後、CM制作会社へ入社、美術や造形制作を行う。その後、ジュエリー会社に転職。仕事では商業的なジュエリーに関わりながら、休日は自分自身の作家活動を行う。

身につける彫刻=ウェアラブル・ジュエリー。 Ito Madoka_photo1

[左]「bone」(2011)copper, cloth, imbroidery thread/H900×W400 [右]「流れる」(2010)iron, stainless steel wire, solder/H620×W330

 

自分だけが考えて表現できるものを作りたい Ito Madoka_photo2  

 

 コンテンポラリー・ジュエリーというジャンルのジュエリーを制作する伊藤まどかさん。手前に見えるのはマネキンの上半身。「私が作っている作品は、身につける彫刻=ウェアラブル・ジュエリーとも言われています。商業的なジュエリーは流行や時代性があったりしますが、私はそういうものではなく、自分だけが考えて表現できるものを作りたいと思っていて。大学在学中は女性のラインを意識した作品を作ったりしていました。」

Ito Madoka_photo3

  「line」(2012)iron/1900×W5300×D605

 

 まどかさんは、高校3年生の夏、武蔵野美術大学のオープンキャンパスで金工の鍛造場を見て「かっこいい」と思い、工芸科への進学を選んだ。そして、鉄を中心に金属造形を学びながら、ジュエリーのジャンルの広さにのめり込んでいく。 卒業後は、「金属しか知らなかったので、特に鉄以外の素材に取り組む機会が多そうな会社で働きたい」と、CMなどの美術や造形制作を行う会社に入社した。はじめは会社勤めをしながら、自分の制作も出来たらと思っていたものの、忙しい毎日に追われ、自分の時間はとても持てず、さらには、学生の頃からの腰痛悪化。これを機に、自分のやりたいことを改めて考え直しCM会社は退社し、「自分の力量と状況を考えてゆっくりゆっくり制作ができる環境を作りたい」と、立川にある石田倉庫にアトリエを構えた。

 

 金属とはまったく性質の異なる“和紙”という異素材での作品づくり

 アトリエを構えるにあたって、金属を叩く音は大きく、もちろん自宅は無理なので、大学の教授に相談したところ、金工の会社でシェアスペースの机が空いているという話を聞き、さっそくその会社に連絡。その会社の社長さんから「君みたいなタイプは、一人で作業するよりもいろんな人と関わりながら制作できる環境が向いている」と石田倉庫を薦められ、石田倉庫への入居を決めた。実際、石田倉庫は彼女にとって、「金工の先輩もいらっしゃるし、とても居心地のよい場所。」となる。 彼女の作品「カミアソビ」のシリーズが生まれたのも、石田倉庫にアトリエを構えてから。絵画教室の講師を2年ほど務め、「自分の制作物は白黒が多かったのですが、子どもたちの色彩豊かな感じを見て『ああ、わたしもこういうワチャワチャした感じ好きだったじゃん』って思って。」と、子どもたちの制作がきっかけで、カラフルで金属とはまったく性質の異なる“和紙”という異素材での作品づくりを思いついたのだそう。このシリーズは、毎年1回開催される「石田倉庫のアトリエ展」で、子どもたちにも人気のシリーズだ。

Ito Madoka_photo4「カミアソビ」(2015)sliver,18-karat gold plating,Japanese paper,art paper

 

自分のペースを大事にして、これからも自分の表現を挑戦して作り続けたい

 

 現在は、ジュエリー会社に転職し、仕事では商業的なジュエリーに関わりながら、休日は石田倉庫のアトリエで自分自身の作家活動を行っている。「作り続けていきたいという軸が自分の中でブレずにあれば、たとえゆっくりでも、続けることが大切なんだという言葉を尊敬する先生から常に教えられてきたので、自分のペースを大事にして、これからも自分の表現を挑戦して作り続けたい。」静かに強く、まどかさんは言う。 「私のジュエリーは、普段使いはできないかもしれませんが、何か特別な時にこれさえ身に纏っていれば、堂々と晴れやかな気分になれる、そんな作品です。ぜひ、見にいらしてください。」 展覧会の情報、彼女の表現力豊かな作品は、ホームページでも見ることができる。 Ito Madoka_photo5

指輪のスケッチと作品。「わたし、指輪が好きなので、たくさんスケッチしています」