水彩画家 保谷さゆり [Houya Sayuri]

水彩画家
[出身]東京都
[経歴]多摩美術大学版画専攻卒業。あとさき塾21期生。在学中よりグループ展や個展で作品を発表。卒業後は、雑貨の商品企画の会社に就職。現在は、自分のペースで作家活動を続けるために事務職のOLに転職し、仕事をしながら絵画制作を続けている。

透明水彩で描く想像の世界ー 働きながら、好きなことを続けたい。

Houya Sayuri_photo1「6月~ゼリーとソーダ~」(2011) F30号パネル 透明水彩・ボールペン

 

パレットってきれいで、見るのも、塗るのも好き Houya Sayuri_photo2

 

 石田倉庫、赤ビルの2階の一室を、イラストレーターの粟津夕貴さん、油彩画家の竹下千尋さんと3人でシェアして、アトリエを構えている保谷さゆりさん。白い机の上にはパステルカラーの色とりどりの作品が並ぶ。 「仕事をしているので、休日くらいしかここで作業出来ないのですが、石田倉庫に来ると安心するんです。いろいろなかたがそれぞれ制作をしていて、みなさんが居らっしゃると思うと。」 保谷さんは大学では銅版画を勉強し、卒業後は雑貨の商品企画の会社に就職したが、商品の企画から製品化までその一連のサイクルが早すぎて疑問を感じ、退職。いまは、事務職のOLをしながら、絵画制作を続けている。

Houya Sayuri_photo3

 パレットってきれいで、見るのも、塗るのも好きです。と、絵筆をとる保谷さん。   「大学のころは、銅版画でエッチングなどの技法を勉強しました。版画というと白と黒での表現が多いのですが、私は白黒のベースに水彩で色を着けるのが好きでした。今は、銅版画ではなく、木製のパネルに下地を塗って、透明水彩で描く方法で制作をしています。」

 

小さいものから始めたら、また描きたい気持ちが強くなって

 「子どもの頃から家に絵本がいっぱいあって。絵本が好きだったから、絵が好きになったのか、絵が好きだったら、絵本が好きだったのか、どちらかしら。」 子どもの頃から絵本が好きだったという保谷さん。描くモチーフは、夢で見たような知らない景色や、映像なのに匂いを感じるような感覚、見たことがないのに見たことがあるようなイメージなのだそう。 「社会に出て、転職をして、自分の毎日のくらしが安定するまで、大きいものを描いては描きかけて、ストップして。また描いて。その繰り返しだったんです。それで、少し落ち込んだりしていたんですが、やっぱり絵を描きたいなって思って。最近になって、小さいものから始めたら、また描きたい気持ちが強くなってきました。」

Houya Sayuri_photo4「天気雨」(2013) F50号パネル 透明水彩・色鉛筆 (現在加筆中)

 

安定しているから描き続けられます。これが、わたしの制作スタイル。

 「石田倉庫に来ると安心する」と言う保谷さんだが、実は、同じく石田倉庫でアトリエを構える塩川岳さん、宮坂省吾さんは、予備校時代の先生。大学へ行き、社会に出て、また石田倉庫で再会したのだとか。「絵を続けてきたから、いまここでこうしてお世話になった先生がたにも再会できました。やっぱりなんでも『続ける』って大事なことなんですね。続けてるといいことありますよね。」と、自分に言い聞かせるように保谷さんはこう言った。 「OLをして絵を描かずに普通に暮らそうと思えば、暮らせるんです。でも、やっぱり好きなことを突き詰めて、描きたいし、描き続けたい。ただ、OLの仕事は暮らしを安定するために必要ですし、安定しているから描き続けられます。これが、わたしの制作スタイルなんだろうなって思います。」 つい最近、実家で飼っているうさぎをモデルに、お母様が物語を書き、保谷さんがその絵を描いて絵本にしようという話が出たそう。子どもの頃、絵本がいっぱいあったのは、こんな素敵なお母様がいらっしゃったからなのだろう。「母が作った物語に私が絵を描いたら、母も喜ぶでしょうから。」いちばん身近な人を幸せにするところから始まる絵本―。保谷さん自身にも素敵な物語が始まったばかり。 

Houya Sayuri_photo5 [左]「ピクニック」 2013年 A4画用紙 透明水彩・ボールペン [右]「にわとりの王様」 2009年 A4画用紙 透明水彩・ボールペン