造形作家 関田 孝将 [Sekita Takamasa]

造形作家
[出身]東京
[経歴]武蔵野美術大学卒業後、2004年に立川の石田倉庫に工房を構える。アート・クラフトイベントへの参加、展示会などへの参加の他、店舗内装、什器、家具や看板、建物金具、銅製品などの制作を行う。国立市谷保の自宅にて、住居兼店舗「ラマパゴス」も運営。

「スプーンからお店まで」既にある空間にすぐに馴染むようなものを作りたい。 sakitatakamasa_01                

関田さんの作ったスプーン、マドラー、そしてバターナイフ。    

 

暮らしの「道具」や「家具」、そして「空間」づくりまで、幅広い作品を手がける。 sakitatakamasa_02

銅製のヤカンや鍋。座銅は熱伝導が良く、あっという間にお湯が沸く

 「スプーンからお店まで」。これは、2014年3月に国立市谷保のギャラリーcircleで開催された関田孝将さんの個展タイトルだ。このタイトルのとおり、関田さんは生活の中で日々接することの多い暮らしの「道具」や「家具」、そして「空間」づくりまで、幅広い作品を手がける造形作家である。 関田さんは大学を卒業後、造形の仕事をしつつ、学校で学んだ「鍛金」の技術を活かし、机一つのスペースで銅板を叩いて作れる、スプーンのような小物づくりから始めたそうだ。「当時はまだ珍しかった地方でのクラフト展に、作品を持って行ってみたら、初めての出店で売れたんです。」 これがきっかけで各地のクラフトマーケットなどへの出店が始まった。こうした出店が増えることで、商品を展示するための陳列棚も必要になり、什器類も制作。さらには、この出店での什器を見たお客様から、家具のオーダーも入り、スプーンから家具や什器へと制作の幅が広がっていった。そして、机一つでは手狭になり、2004年に石田倉庫に工房を構えた。   

 

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ぼくが作るのは、大量生産できる工業製品と、コストがかかる工芸作品との間にあるもの

 関田さんの作品は、素朴でシンプル。丁寧に鍛金された作品は、新しいのにもう何年も使い込まれているような温かみと経年美がある。そして、どこか愛嬌があって愛着がわいてくるようなフォルム。「ぼくが作るのは、大量生産できる工業製品と、コストがかかる工芸作品との間にあるもの。効率よくできて、しかも、手でないとできないもの。ぼくは、古いものや古道具が好きなので、古い要素を取り入れた新しいもの、初めて出会うのにどこかなつかしい。そんな、既にある空間にすぐに馴染むようなものを作りたいんです。」 ゆっくりと、言葉を選びながら話す口調や、本人のキャラクターが作品の雰囲気にも重なる。  

sakitatakamasa_04 「犬と共に生活すること」を体現したショップ Milokの什器 [左]角度可変式の靴棚[中央]ノックダウン式の棚[右]ハンガーラック

 

集まったり発信したりできる場所「ラマパコス」の誕生 sakitatakamasa_05          

関田さんのワークショップ風景 [上]高知市terzo tempo(2011)[左下]石田倉庫アトリエ展(2013)[右下]国立市circle(2014)

 

 最近では、展覧会や出店などのほかにも、熱した鉄をつぶして形をつくる「鍛造」や、アルミをたたいてお皿を作る「鍛金」のワークショップなども行い、関田さんは活躍の場をますます広げている。また、2014年には、自らの住居兼お店でもある「ラマパコス」も始めた。 「2007年頃、ぼくは国立市の大学通りにあった古い平屋群に住んでいて。その一角にあった『テラバヤシ設計事務所』さんが土日にイベントを開いたりして、よく人が集まっていました。それがとても楽しくて。その平屋が老朽化で取り壊されることが決まってから、壁を抜いたりカウンターやデッキを作ったり、思い切り改装をして最後の1ヶ月はほぼ毎日お店のようにしてイベントをやっていました。もともと利佳ちゃん(関田さんの奥様)はいつか人の集まれる場を作りたいと思っていて、僕もアトリエとは別に集まったり発信したりできる場所も欲しかったので、これを機に自分たちのお店を作ることにしたんです。」

sakitatakamasa_06 写真は、谷保のお店『ラマパコス』にて、写真家の奥様利佳さん、愛娘こまねちゃんと。

 

 「作品、料理はあくまでもツールであり、みんなが楽しく集まれるたまり場みたいなものが作れればと思います。お店はイベント開催に併せて不定期オープンですが、工房も見学可能なので、お気軽にご連絡ください」とのこと。 スプーンから家具、家具からお店へ。関田さんの作り出す世界感は、目で見て、手で触れてその温もりを感じて欲しい。もうずいぶん前から、ずっとそばにあるような愛着を感じる逸品に出会えるだろう。