財団法人立川市地域文化振興財団 インタビュー
■杉田二郎・ばんばひろふみ・因幡晃 〜青春のグラフィティ〜(2002年3月)
杉田二郎

シンガーソングライター
杉田二郎さん
 すぎたじろう

★プロフィール★
立命館大学在学中に「あなただけに」で東芝よりレコードデビュー。卒業後「はしだのりひことシューベルツ」に参加し、「風」が大ヒット、その後森下次郎と「ジローズ」を結成し「戦争を知らない子供たち」を大ヒットさせ社会的なブームを巻き起こす。ソロになった後も「男どうし」「ANAK(息子)」などヒット曲を生み出す。昨年7月にはニューアルバム「Ba Ba Lu De Jiro」、9月には久々のシングル「人生半分」を発売。

 3月16日(土)に公演を行う杉田二郎さんに、音楽との出会いなどについてお話を伺いました。

Q:杉田さんと音楽との出会い、そしてデビューまでのいきさつをお聞かせ下さい。
 高校の頃、当時はグループサウンズが非常に盛んだったのですが、その一方で特に学生の間にアメリカのフォークソングが東京の方からおもに学生の間に広まってきました。
 高校2年の時ギターの上手い友達がいて、文化祭の練習を見ていたときに「おまえもやってみないかと」いわれて初めてギターを手にしました。やってみるととても楽しくて、大学に入ってから沢山のアマチュア・フォークコンサートに参加し、そんな中で北山修、加藤和彦、はしだのりひこといった人たちに出会っていきました。また、アマチュアのジローズの時に作詞作曲した曲がラジオ番組に取り上げられて、レコードデビューもしました。そして大学卒業後フォーク・クルセイダースが解散した後のはしだのりひこさんが結成したシューベルツに参加しました。

Q:フォークとはどんな音楽なのか、また、今なお多くの方に支持されている理由は何だと思いますか?
 フォークはそれまでのグループサウンズの曲と違って、社会的なことから、身の回りの些細なことまで、どんなことでも歌にすることができ、それが又面白いところで、中には非常に個人的な曲や、放送禁止になるような曲もあったりして、自分が言いたいことを自由に表現できることが、魅力の一つだと思います。「戦争を知らない子供たち」も当時は賛否両論あって、「戦争を知らないという」表現を誤解して、「今の若者は国を思って戦った人たちをどう思っているんだ、知らないですますのか」何て言うふうに解釈している人がいて、そうではなくて、「これからの子どもたちは戦争を体験することの無い世代にならなければいけないんだ」ということを歌ったつもりだったんだけど、それがちょっと誤解されて、非常に物議を醸し出したりしました。
 そしてそのころ、そういったフォークに共感を持って聴いていた人たちが、一時仕事や子育てにおわれ、コンサートどころではなかったものが、今また会場へ来ていただけるというのは、単に懐かしいという理由だけでは無い何かを感じているのではないでしょうか。

Q:3月16日は、ばんばひろふみさん、因幡晃さんと共演なさるわけですが。
 彼らとは兄弟分のような関係で、当日も良い雰囲気で出来ると思います。
 それぞれの曲をソロでやるだけではなく、3人で一緒にやることも考えていますので楽しみにしていて下さい。

Q:好きな言葉・座右の銘のようなものはありますか
 僕の通っていた大学の総長が言っていたことばで、僕は高校の頃から聞いていたんですけど、「未来を信じ、未来に生きる」という言葉が好きです。
 今の世の中どうなってしまうんだろう、先が読めないという状況で、真面目にやっている人が損をしたり、上手く立ち回る人がスルスルと抜けていくよう中で、個人としてしっかりとした信条を持っていた方が良いと思うんです。そういう意味で僕は学生の時に総長が特に若者に対して言ってくれた、「未来を信じ、未来に生きる」という言葉が好きで、ずっと忘れずに来ました。

Q:最後に立川のお客様に一言。
 20世紀は戦争の世紀だったとよく言われ、21世紀こそ世界から戦争の無いようにと、全世界の誰もが願っていたと思うんですが、こんなに早くいきなりこうなってしまったことがたまらなく悲しく思います。人間の社会は制度にしても技術的にもは発達してきましたが、人間そのものの心の成長といおうか、人類愛というものは進歩していなんじゃないかと思えます。
 そんな時代ですから、コンサートでは皆さんが愛を感じて、幸せになれるような、そういうきっかけになればいいと思います。