【10/10開催】ロングインタビュー「ロバの音楽座とコンサートのおはなし」

 

3. 10/10(土)開催「ポロンポロン」について―

 

ー「ポロンポロン」は客席を円形に造る作品ですが、今回はコロナ対策としてステージと客席、客席同士の距離を保てるように対面形式で開催します。
 子どもたちに音楽を届けるという意味では、ロバの音楽の中でも、かなり根本的な部分に触れる作品かなと思っています。もちろんお客様や会場も関係があるでしょうが、音楽として「ポロンポロン」はどのように組み立てられているのでしょうか。
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松本:「赤ちゃんのため」というのは一番難しいコンサートですね。嫌いなものは嫌いとはっきりしてるから(笑)。でも僕らにとって何よりもいい時間が味わえるコンサートなんです。大人はとかく赤ちゃんにはあの音楽は難しいとか、途中でぐずるんじゃないかとか心配しがちですが、彼らこそ音楽の本質を聴き取ってくれる人たちだと思っています。何も媚びる必要はないんです。でも刺激的過ぎる音はあの柔らかい肉体には良くないですね。とにかく心地よい音で、僕たちが一番好きな音楽をやれば「うんいいんじゃない!」というような顔をしてくれます。それから演奏中のアイコンタクトを大事にしてます。ただ演奏を聴かせるというより、あなたに、という目線が彼らの安心感に繋がると思っています。それからお父さんお母さんのために演奏しています。

上野:それこそリモートじゃこれはできないです。いわゆる配信の中では。テレビ画面で見るのと、生で見るのと、明らかに情報量も当然違うわけだし、現実にそこに起こっているそのタイミングで出くわしている、総じて言うとコンサートってそれでできていると思う。かたちの整った配信もあるかもしれないけれど、「もけらもけら」みたいにその場で何が起こるかわからない危険味がありながら、その時だけその場での現象、リアルタイムで起こっていることを誰に呼びかけるかということも含めて、すべてがコンサートだと思いますよね。

ー赤ちゃんは、周りの空気にとても敏感ですよね。家で画面を見て演奏を聴くという時の心情と、自分が行ったことのないような会場、家ではない環境で音楽を聴くということの違い、抱っこされているか椅子に座っているかだけでも全然違うと思います。小さなことでも影響がある中、生で聴くということのインパクトはかなりのものかと。

大宮:子どもができてから音楽会に来るのは初めてだという方、お父さんお母さん自身が本当にワクワク、ドキドキなんですよね。子どもと一緒にコンサートに来ることが本当に嬉しくて、音楽会を大事に迎えていることが、抱っこされてる子どもたちにも伝わると思うんです。

ーやはり「お父さんお母さんのためにやっている」ということ、大人が楽しんでいるかどうかが赤ちゃんの心地よさにつながっている。

大宮:音楽が始まって、ぽろぽろ涙を流す若いお母さんもよくいらっしゃいます。子育てが忙しくて、なかなかコンサートに行くことができないお父さんお母さんに聞かせたい、という点もとても大事なコンサートだと思っています。

ー短い時間(公演時間約45分)の中でも皆さんの、最初に子どもたちに音楽を届けようとされたときの想いや考えがつまった作品なのだなと思います。

松本:家に閉じこもりがちのこの時代、思い切って劇場の扉を開いてみると、来て良かったなぁと思ってもらえたり、隣で同じ子育てをしている人とお話が出来て良かったなぁとか。劇場というのはコミュニティのための場でもあるんですね。でもまだまだ劇場に足を運ぶ人は少ないですね。

ーこのような社会情勢になるとは思いもよらなかったので、当初は未就学児向けの企画を、という理由で開催を計画していました。図らずもこういう状況になって、私たちも初心に立ち帰るといいますか、生で音楽を届けるということを、何となくではなく、きちんと考えて説明できるような意志を持ちながら一つひとつやっていかないといけないなということを考える機会なのだと捉えています。

IMG_6106IMG_6107新しく創ったというフェイスシールドつきの楽器を見せてくれた松本さん。
スタンドに取り付けられた筒と床にある青い筒が長いばねで繋がっている。
歌うとばねを通じて声が響き、リバーブがかかったような音がする。

ーでは最後に、「ポロンポロン」に向けてお一人ずつメッセージをいただけますか。

大宮:気分転換にというつもりでも良いですね。なにか扉が開くかもしれないし、お子さんと楽しい思い出を作っていただきたいので、ぜひいらしてください。

冨田:これから先どうなるのか読めないだけに簡単に公演をお勧めできないのが本当にもどかしいですね。「ポロンポロン」は親子共にリラックスした気分で音楽を楽しむまたとない機会です。心のままに音と触れ合うひととき…。素直に幸せな気持ちになります。そしてその思い出は将来大人になっても繰り返しじんわり自分の心を温めてくれます。今の時期だからこそ対策はしっかり取りつつ、皆さんにぜひゆたかな生の音楽を味わっていただきたいと思います。

上野:音楽会というのは本来密であり、今はそうならないような体制で行っていますけれどもやはり、この状況でもこれが大事なんだということを示せればいいなと思います。

松本:赤ちゃんの時にこそ聴いて欲しい音楽です。このチャンスを逃さないようにしてほしいなと思います。大きくなったらきっと何かに繋がりますよ。ぜひお越しください。

ーロバの音楽座の皆様、ありがとうございました。


10/10(土)「ポロンポロン」へのお越しをお待ちしております!

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